発展した土地には勤め暮らす場所が増え、発展していない土地??田舎などには娯楽施設が立ち並ぶ。住民たちの批判にときにはあいながら
ニビシティから北にかなり離れたところにあるこの村では、最近激しい騒動が起こっていた。灰色で殺風景、いかにも安上がりそうな工事現場に作られる仮設家の前に、人々が、反対や出て行けなどと書かれているプラカードを持ち、叫ぶような声でプラカードに書かれている文字を建物の二階に向かっていっていた。
反対運動をしている人たちの先頭のほうには、声を張り上げて反対をうたう、体つきのがっしりしたガキ大将とでもいうような小学生がいた。だが、彼は小学生であることから、退散をよぎしなければならなくなった。
彼を知るおばあさんはいった。
「小学生は、畑仕事と勉強をしとるんだよ、ヤンジ」
仕方なくヤンジはその場を退散しようとすると、建物の一階のほうに、ヤンジと同じぐらいの少年がいるのに気づいた。見た目からして気が弱そうな少年であった。
「誰だろう?」ヤンジは思案した。「あんなやつはおれんところにはいなかったはずだ」
この村の学校はひとつしかない。さらに児童数も少ないから、ひと学年一クラスで、多くても二クラスしかない。ヤンジは児童でありながら、学校にいる全員の顔と名前を覚えていた。それなのに、あの少年はいままで見たことがなかった。
そのときはその少年のことを思いだせないままであったが、それもそのはずだった。その少年は、翌日ヤンジのクラスへと転校してきたのだから。
その少年の名はダイチというらしい。ヤンジのみたとおり気が弱い少年で、挨拶でもそれほど目立ったことも言わなければ、声も大きいとはいえない。それにもじもじとしていたのをみると、気が弱いことを証明していた。
だが、ヤンジはそのことに関しては特にどうも思っていなかった。それより、彼はダイチに関する別のことを頭で整理し、考えていた。
ダイチは、気弱な少年の例に漏れず休み時間にでも、一人で席に座っていた。
そんな彼にヤンジは話しかけた。
「おれはヤンジ」最初に簡単な自己紹介をする。
「ぼ、僕はダイチ」ダイチも同じような自己紹介をする。
ヤンジとダイチは会話を交わす。驚いたことに、ヤンジとダイチはポケモンが好きということで共通点があった。性格こそ違うが、その会話は進みポケモンに関するいろんなことを論じ合っていた。
「そうだ」ヤンジは思いついたようにいった。「今日、山にいっていないか? あそこにはたくさんポケモンがいるよ」
その提案にダイチは言葉を詰まらせた。
「どうした?」とヤンジ。
「いや……山はいいよ」
「どうしてさ?」
「山は虫ポケモンがたくさんいるでしょ? 僕はむしポケモンっていうのは好きじゃないんだ。それに、ポケモンも持ってないし??」
「大丈夫さ。おれには仲のいいイーブイがいるから、あいつを連れてけば問題ないよ」
「でも????」
そのとき、ダイチは別の友達に呼ばれた。
「じゃあ、そういうことで。放課後な」
そういってヤンジは、ダイチから離れていった。ダイチは、はぁとため息をついた。
学校が終わると、ヤンジとダイチは山の中にいた。
「こいつがイーブイさ」
ヤンジは、自分の足元にいるイーブイをダイチに紹介した。ダイチは、イーブイをものめずらしそうに、また、うれしそうにみていた。
「さ、さわってもいい?」おどおどしながらダイチはいった。
「いいとも」
イーブイは彼が触ることを拒否することはなかった。
「イーブイは学校のポケモンなんだ」とヤンジ。「誰にでもなつくし、誰の言うことでも聞くんだよ」
それからダイチはさまざまポケモンたちを山の中で見た。彼が嫌いなむしポケモンもいたし、くさタイプのポケモンもいる。所々にはみずタイプのポケモンもいる。どこに目をやってもポケモンがいるようなこの山を見ていて、ダイチはその魅力に惹かれていた。
「僕が前いったところじゃ」とダイチ。「こんなにポケモンがいるところはなかった」
「いったところ?」
「いや……」ダイチは急に口ごもった。「なんでもない……」
そのとき、イーブイは実のなる木を見つけていた。イーブイは、その実を食べようと木にたいあたりをお見舞いした。
それに気づいたヤンジはいった。
「お、きのみか」
ヤンジはイーブイに近づいた。すると、木の上空からなにやら音がしてきた。上を仰ぐと、スピアーが彼に迫ってきていた。
ヤンジは、それに驚き動くことはできなかったが、イーブイがたいあたりをし、逃げる隙を作ってくれたため、彼はスピアーに攻撃されることはなかった。だが、まだほかのスピアーが彼を狙っていたので、ヤンジは走り出した。
「逃げるぞ、ダイチ!」
「逃げるって、でも……!」
「いいから!」
彼らは走り出した。後ろには大量のスピアーが迫ってきており、今にでも追いつき攻撃をしてくる体制でいた。
ダイチは、足が遅く、幾度かスピアーに襲われそうになったものの、イーブイが襲ってきたスピアーに攻撃をしてくれたので難を逃れながら、走り続けていた。だが、体力だけはそれにはかなわない。ヤンジは体力自慢であるが、ダイチはそうではない。ダイチがかなり疲れていることをヤンジは感じ取ると、草むらの影に隠れた。
スピアーは、彼らが隠れた草むらの上空をとおりどこかへと飛んでいった。飛んでいった後も、用心のためしばらくそのまましていたが、戻ってくる気配がなかったので、その場を出ることにした。
「なんとかなったな」ヤンジは言う。「まあ、こんな恐ろしさも時にはあるさ」
「ねえ、そろそろかえらない」恐怖の響きを持たせながらダイチは言う。「それにそろそろ帰らないとお父さんが心配するし……」
ヤンジはそれに同意し、山を出た。
山を出たときはすでに夕方であり、空は茜色に染まっていた。それをみたダイチは、綺麗であることに感動したようだった。
「そうだ」ヤンジは思いついたようにいった。「なあ、もう少しだけ時間をくれないか? いいところがあるんだよ」
「いいところ?」
「そうさ。まあ、ついてこいって」
ダイチは不思議ながらも、ヤンジについていった。
ヤンジが案内した場所は、とある神社だった。その神社に入るころには、後数分もすれば真っ暗になるというところまできていた。さすがに、ここまでになるとダイチは心配になってきたが、ヤンジは大丈夫だと言い聞かせた。
「それにもう少しだからさ」
神社は長い階段で続いていた。それを上るのにだいぶ骨が折れ、上りきったときにはヤンジもあえぐ状態であった。
ヤンジは今上ってきた階段のほうを向くと、いった。
「みてみろよ」
ダイチは、ヤンジが見ている方角をみてみた。すると、そこには美しく神秘的に輝く満月が出ていた。
「ここは月が綺麗に見える場所なんだよ」とヤンジ。「それにこの時間だと反対をみれば??」
二人は振り替えった。そこには、闇に飲み込まれようとする夕焼けがみえた。黒と茜色の調和が美しさをかもし出していた。
それにダイチは見とれていた。そして、この光景を何度も見ているヤンジも……。
完全に闇に包まれ、二人は月を見ていた。そのとき、出し抜けにヤンジはいった。
「なあ、お前って、あのゴルフ場を建設しようとしている会社の子供じゃないのか? そうじゃないとしても、それに関係してる?」
それをきいて、ダイチははっとして、押し黙ってしまった。そして、悲しい気持ちでいっぱいだった。
ヤンジは続けて言う。
「別におれはどうってことはないさ。確かに、あの会社は嫌いさ。この景色やあの山を消そうとしているんだから。お前もみただろう? あの山に住むポケモンたちを。ゴルフ場ができれば、あいつらは見られなくなるんだ。おれはそれがいやだ」
ダイチは小さな声で言った。「僕も…………」
「お前が、どういう立場か知らないけど」とヤンジ。「よかったら、このことを親に話してあげてくれないか?」
「でも、僕がそれをいってもどうしようもないと思うんだけど……」
「言うだけでいいのさ。それがどんな結果になるかは、わからない。おれにだって想像はできない。でも、やらなきゃなにもおきないんだ」
少し間があいた。それからいった。
「うん」
そのとき、イーブイが白く光りだした。
その様子にダイチは驚き、あたふたし始めたので、ヤンジはそれを制した。
「おれもこれで二度目だけど……まあみてなよ」
白い光の中でイーブイは形を変えだした。体は大きく、耳は少しシャープに……。と、光が突然はじけた。そして、彼らの前に現れたのは全体のボディは黒く、ところどころ月のような模様がついたポケモンだった。
「ブラッキーに……」ダイチは面食らったようにいった。「進化した……?」
「進化したんだ……。こいつもそんなレベルになったんだな」
「ブラッキーはレベルアップでは進化しないよ」
「ああ、そういえばそうだったな」
ブラッキーの月の部分が輝きだした。それははるか遠くに存在する月と連動しているようだった。
それをみていた、ダイチはいった。
「僕、お父さんに今日のこといってみるよ。ゴルフ場は建設しないでって」
某氏からいただいたストーリー原案を参考に、プロットを構築し、書いてみた作品です。できれば、原案を忠実に再現したかったのですが、それができず、書いたらこんな作品になってしまって、自分の力が情けなくなります。
とはいえ、できた作品ですが、内容としては自然をテーマとしています。その分、ポケモン性は薄れてしまっているのですが、すいません、これは私の実力不足です……。
これを元に、もっとレベルアップができればいいと思います。