謎の輝く星

 無数の星星。常に地球を見ているあれらに私たちはどう移るのだろう。



 昼間に空をみあげると強い光を放つ太陽の光しかないように思われているが、星も輝いているのをご存知だろうか。星の光は弱く太陽の光にさえぎられてしまい昼間にみることはできない。そんな星の輝きをみれるのは夜であるが、夜には月と共に協力して輝いている。

 そんな星は常に地球を見ている。個々の星では常にみることはできないがそれらがみたものを共有すれば。

 私は気象庁で働いており空の様子をよく観察することがある。もちろん昼間なのであるが、ある日私はその時間に星らしきものを見出した。太陽とは反対側にそれはあり、弱弱しく光っていた。それをじっとみているとき、不意に話しかけられその星から目を離した。

「なにをしているんだ?」

 話しかけていたのは長身で私の同僚である孝一だった。

「いや、空を見ていたんだが??それより孝一。こんな昼間に星が見えるぞ!」

 私は星が光っている場所に視線を移し指差した。だが、光る星はそのときにはなく青空が広がっていた。私は驚き、その周辺にも目をやったが結局星を見出すことはできなかった。

 その様子をみていた孝一は言った。

「どこに星なんかあるんだよ?」

「確かにさっきまであったんだが??今はなくなってる」

「星じゃなくて太陽の陽だったんだよ、きっと。こんな時間に星が見えるわけがない。それより少し早い飯を食いに行かないか?」


 それから二週間ほどたった日に私と孝一は郊外の山の近くに住んでいる方のところへと行くように上から言われたのでその場所へと向かった。その方は観測をしているのだそうだが、このたび変なものを見つけたのだという。私は何かの興味にひかれていた。来るのは夜にしてくれといわれたので、私たちがその家に到着した時は午後九時をまわっていた。

「おお、きたな。こっちですよ」

 住んでいたのは中肉中背の初老の男性だった。彼は私たちを奥の部屋へと進め、望遠鏡をのぞかせた。そこにはキラキラと輝く星が無数にある空だった。だが、これといって何かしら変なものがあるようには思えなかった。

「これがどうかしたんですか?」私がそう訊くと老人は答えた。

「ほほう、わからなかったのか。どれ、望遠鏡の位置を変えよう」

 男性は位置を変えてから私に再度、望遠鏡をのぞくように促したのでのぞいてみた。すると、そこに移るのは他の星よりも一段と輝き、まるで小太陽のようだった。

「これは一体???」

 望遠鏡から離れ孝一にのぞかせた。すると、それをみた孝一は私と同じ意味の言葉を洩らした。

「この光は不思議で、肉眼だとみえないんだ。他の星はそれより小さな光だけどみえるのにな」

 それを聞いた私たちは外へ出て空をみあげた。すると、男が言っていることがうそだということがわかった。ちゃんと小太陽のような星は肉眼でも輝いて見えるではないか。肉眼では見えないなどというファンタジーじみたたわごとに私は文句を言ってやろうと思った。が、そのとき孝一が驚きの言葉を発した。

「本当だ。さっきの星が見えない」

「そんな馬鹿な!」私は思わず叫んでしまった。「ちゃんとあそこにあるじゃないか!」

 私は小太陽を指差してやった。だが、その指先を二人が見たときの反応は先ほどと同じだった。

「お前、疲れてるんじゃないか?」ついに孝一は私がおかしくなったといわんばかりに言った。「小太陽みたいに輝く星なんかないじゃないか。確かに望遠鏡は見えたが肉眼では見えないのはおれが確認してる。ここ最近、忙しかったからな。今日はもう帰って休もう」

「しかし実際に私の目には??」

「それでは我々は帰らさせていただきます。またおじゃまするかもしれませんが」

 孝一は私の言葉をさえぎり、その家を後にし気象庁に帰った。

 その日から私は二日間、休みをもらった。気象庁に話しを伝え、孝一が私の体調が思わしくないと思われるから休みをくれるよう頼んだのだ。私はそれには拒んだのだが上司が休めと最終的には命令になってしまい休暇となったのだ。自分で言うのもなんだが、私は庁内で少し重要なポジションに位置している。庁も私がいなくなるのは困るから休暇をくれたのだろう。

 しかし、休暇をもらったといえど休む暇などなかった。私は一人暮らしで一度も結婚をしていない。そして、最近は全然家に帰るのが遅かったので部屋がとてつもなく汚かったので掃除をすることで半日がつぶれてしまった。残り半日は家でゆっくり過ごすことにした。翌日の休みは家にずっといるのも息苦しいので外へ出て、散歩をしてみた。

 久しぶりにわが町を歩いてみたが、ほとんど変わっていなかった。だが、それらをみるのはとても新鮮であった。近所の公園に来てもその公園も変わってはいなかった。散歩もしているのも少し疲れたので私は公園のベンチに座り一息入れた。その時、ふと私は空を見上げた。青々としている空に私は、何か太陽とは別の輝きを見つけた。

 私は直感的にあのときの星だと思った。いや、数日ばかり前の星ではなく数週間前のあの星。私はあのときのように少し目を離し再度みてみたがそれは消えることなく私の目に映り続けていた。

 その日の晩に私は空をみてみた。その空にはあの小太陽のような星が私の目に映っているのを確認することが出来た。その時、私は昼間の星とそれが同一のものであるのではないかと悟ったが、それを証明するものなど一つもなかった。

 翌日、孝一に会うとそのことを私は説明した。

「本当にお前疲れてるんじゃないか? もう少し休んだらどうだ?」

「いや、疲れているんじゃない。実際にみえるものはみえるんだ。それにこのとおり全然疲れてなんかいない」

「しかしだな。その星が肉眼で見えるのはお前だけなんだよ。おれも含めて庁の人間も肉眼ではそれはみえないんだ」

「だが??」

 私は口ごもってしまった。すると孝一は私があくまでこの主張を押し通すということがわかったのか??長年の付き合いだからかもしれない??言った。

「わかったよ。少し調べてみることにするか」

 私と孝一は私の秘密を??いや、その星の秘密を調べることになった。もちろん、それは庁からは却下された。皆が皆見えないのに私だけが見えるのだから私がおかしいんだと決めてかかったのだ。だから、私たちは個人的に調べることになった。

 その星を昼間にみることは顕微鏡ですらできなかった。だが、私は相変わらずみえるので顕微鏡を光るところへレンズを持ってゆくことなどわけないことだった。

「お、かろうじてだけどみえるな」孝一は言った。

「何が見える?」

「ただ光っていることぐらいしかわからないな。方角はどっちになってる?」

 地球は自転している。同じ星が昼間と夜にみえるわけがないのだが、私は両方の時間帯でその光る星を見ることが出来る。その二つの星が同一のものであるわけはないのだが、どうしても私には同じものだと思えたので、方角を調べ夜にその方角にそれがあるかを調べることにしたのだ。

 その夜に私たちは庁に残り夜の観測を始めた。夜の観測では私が位置を指定しなくても孝一は星を特定することが出来た。

「やっぱり、望遠鏡からは見えるのに肉眼だとみえないな」孝一は肉眼で見ているときに言った。

「いや、やっぱり私にはみえるな。さて、方角は??」

 私は言葉を失った。その様子をみた孝一は方角を聞くことなく自らで方位磁石を手に取り調べた。

「へえ! こいつは驚いた!」孝一は方位を見ると叫んだ。「同じ方角じゃないか!」

 私の背筋が急に血がなくなったようにさぁと血がひいた。なにかこれは不吉なことがおこるのではないかと、このとき初めて思ったのだ。星が地球と同じ時速で回るわけがない。星の位置は絶対にかわらなければならないのにかわらない。こんなことありえない!

 それから望遠鏡を覗き込み、私たちは星の周辺を調べてみたがとくに何か変わったことはなく、また星自体にもまったく問題はなかった。それを知って私はまた寒気がした。

 その結果を私たちは簡単な調査報告書にまとめ上司に提出した。上司はそれを受け取ろうとしなかったが、私たちが粘った末、受け取ってもらえ上にその報告書は回っていった。提出してから数日の後、私たちはその事情を報告書ではなく口から話すように言われたので、重役の目の前で調査報告を説明した。すると、そのことをちゃんと調べるように各専門家にその話しが回り、この問題はついに世間に知られることになった。

 各専門家はやはりこれが何かの不吉の兆候であるという人が多かった。世間的にはこれは「一九九九年にはずれたノストラダムスの大予言が遅れてきた」というものもいた。

 世間を恐怖に突き落としたこの星の正体。それは専門家達がちゃんと調べだし、私もそれに協力したが何ヶ月とたっても以前とわからず、二〇〇六年をついに迎えてしまったのである。

 そんな年のまだ寒いある日、通りを歩いていた私は唐突に背筋が凍りつくような感じに襲われた。私は後ろを振り向いた。すると、そこにはあの星が??謎の輝きを持つ星があった。そして、その星の輝きが強くなっていることを私は感じて取った。

「近づいてきている??」

 私はまさかと思いつつもそんな感じに襲われた。だが、それは現実だった。その後に星が地球に接近している可能性が高いという結論が下されたのだ。それは星の光が強くなっていることが原因である。

 それからさらに数ヶ月の後、原因を突き止められず私はこうして記述することは出来なくなった。



 はっと私の視界に白い天井が現れた。私はばっと起き上がるとそこは見慣れた私の部屋だった。部屋は片付いており、人を呼びたくなるほどの綺麗さだ。

「まさか、夢???」

 私はさっきほどまでのことを鮮明に覚えていた。あの星が地球に??。私は窓に近づき外をのぞいた。そこに移るのは見慣れた光景で、車や人が通っている。じゃあ、さっきまでのはなんだったんだろう……。

 空をふとみあげてみると、太陽でない何かが輝いているのが見えた。

あとがき

 大衆小説を書こうと思って書いたら、明らかにロー・ファンタジーになったこの作品。知人の間のみで公開しているのでタイトルで検索してもみつからない仕掛けになっています。

 さて、テーマ「星」というのに固執して書いたのですが、どのようなストーリーにすればいいか全然わからなかったので、頭の中に出てきたことをカチャカチャと打ち込んでできたものです。最初、星なんてテーマはやめようかと思ったほどでしたが、一回考えたことはなんとしても押し通したかったのでがんばってここまで出来ましたよ。

 え、夢オチ? って思ったかもしれませんが、夢オチなのかどうかは自分考えてくださいな(笑

 ちなみに、タイトルはミステリースター(謎の星)が良かったんですが、星という文字がほしかったので今のタイトルになりました。

 執筆日:2007年6月9日

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