フェニックス砂漠から戻ってきたレオンチームは先に戻っていたディンたちに遺跡でのことを告げた。
「なるほど」話を聞き終わったディンは言った。「『さそりと不死鳥。彼らの戦いの地に宝と伝説は眠らん』か。敵もこのことを知った今、一刻も早くこの場所を探さなければならないな」
「ディン様はご存知ではないのですか?」レオンは尋ねた。
「私は知らない。何せ、トレンドアイランドというのはあまり話を聞かない島であったからな」
「じゃあ、どうするんだよ」とワニノコは言った。「スコーピオンがすぐにでもその場所に行くかもしれないのに、俺たちはその場所もわからないじゃスコーピオンを倒すこともできないじゃないか」
「確かにそのとおりだ。スコーピオンはこの島について詳しい。さそりと不死鳥が戦った地はすでに知っており向かっているかもしれない。だからこそ一刻も早くこの地に行かなければならないのだ。だが、この地の情報を集めなければならない」
「しかし、町の人々にそのようなことを聞いても知らないものが大多数なのではないでしょうか? なにせ皆が知っているのは『さそりと不死鳥が戦い不死鳥が勝った』ということが主なんですから」オオスが言った。
「確かにそうね」とチコリータは言った。「スコープビレッジの村長もどこで戦ったかまでは言っていなかったし」
「でも言わなかっただけじゃないの?」ヒノアラシはチコリータに対して言った。
「わかった」とチコリータの答えが出る前にディンは言った。「スコープビレッジの村長にはジュプルとオオスで話を聞いてくるんだ。そして、ヒノアラシとチコリータはこの町で人々からとりあえず情報収集をすることにしてくれ」
「わかりました」ワニノコとレオン以外の全員がそう返事をすると、早速部屋を出て行った。
「そして、ワニノコとレオン。お前たちはシーシティの図書館に行ってくれ」皆が出て行くとディンは言った
「シーシティの図書館ですか?」レオンは聞き返した。「なぜまたそんなところに」
「トレンドアイランド一の図書館はシーシティにあるシー図書館なんだよ。この島の図書館になら何かしらの情報が手に入るかもしれない。ただ、膨大な量だからな。お前たち二人では大変かもしれんががんばってくれ」
「わかりました」
「じゃあ、ディンは何をするんだ?」ワニノコはディンが何もしない様子だったので尋ねた。
「私は皆の意思を受け取り指示をする役割を果たす」
「ワニノコ、ディン様が何もやらないわけじゃないんだ。とっとと行くぞ」
ワニノコはレオンに引っ張られるような形で部屋を後にしシーシティへと向かった。
シーシティはフェニックスシティの東にある町で海の近くにあり、夏になると浜辺にたくさんのポケモンが集まる。その海はとても美しく、トレンドアイランドの観光名所のひとつであった。だが、彼らは観光をしているわけではないので、美しい海を見る機会はほとんどなくまっすぐ図書館へと向かった。
図書館で彼らは分かれて歴史コーナーの本を開きあさった。そのときの気分は人ポケ戦争時代――つまりモンスター暦四二〇三年――で元の時代に戻ろうとしたときに図書館の本を調べていたときと同じだった。あのときの光景が昨日のように思い出された。だが、そんな思い出に浸っている暇なく急いで本を読み漁った。
まさに三時間がたち、日も暮れてしまったころワニノコは大声を出した。
「あったぞ、レオン!」
幸いにも周りには人はいなかったので、レオンはワニノコの行為に対して何もいうことはなかった。レオンはワニノコが開いている色あせた本をのぞいた。
それにはこうかかれていた。
モンスター暦四三〇三年。トレンドアイランドには不死鳥が住み島民たちは皆幸せに暮らしていた。しかし、そんなある日にどこからか巨大なさそりが姿を現した。そのさそりは町をことごとく荒らし、それをとめるため不死鳥は立ち上がったそうだ。さそりは小さなさそりを従え、不死鳥に向かって行った。対する不死鳥は不死鳥一匹でさそりに向かって行った。
そして、決着の日。小さなさそりはいなくなり、巨大なさそりと不死鳥は島の中央にあったコンセルトフォレストで戦った。そのコンセルトフォレストは不死鳥の住みかであり、不死鳥は優先に戦いを続け巨大なさそりはついにその命を絶ったという。
後にこの戦争はスコークス戦争と呼ばれた。
「つまり」と読み終わったレオンは言った。「コンセルトフォレストで戦いは起こったわけか」
「そういうことみたいだな」ワニノコは同意した。
「コンセルトフォレストは今現在もこの島の中央に残っている巨大森林だ。スコーピオンの奴らもそこに行くことだろう。さあ、それがわかったらとっととフェニックスシティに戻ろう。早めに行動を起こさなければいけないのだから」
フェニックスシティに戻るのは早足だった。そんな状況でワニノコはレオンに言った。
「戦争――か。俺らって何かしら戦争と縁があるのかな?」
「人ポケ戦争とスコークス戦争に巻き込まれたということか。まあ、そんなこともあるだろうよ。二つの戦争に巻き込まれるなんてことはな」
「普通の人じゃないよ、二つの戦争に巻き込まれるなんて。はぁ、今回もタイムスリップしなければいいけど。一年もたってないのに二回もタイムスリップするなんて最低だよ」
「そんなことはないだろう。相手は人間じゃないんだしな」
フェニックスシティに戻るとディンとヒノアラシ、チコリータが戻っていた。彼らの表情はどこか悲しみにくれているのをワニノコとレオンはすぐ察知した。
「どうしたんですか?」レオンはディンに尋ねた。
「ジュプルとオオスのことなんだが」――ここで少し間を入れた――「あいつらがスコーピオンに襲われ怪我をした」
「なんだって!」レオンはいつもの冷静さを失う叫びをあげた。「それで、あいつらは無事なんですか?」
「ああ、スコープビレッジの人が介抱してくれ、近くにあるコンセルトシティの病院に搬送された。命に別状はないと連絡はあった」
「そうでしたか。ならばよかった」
「それでスコープビレッジはどうなったんですか?」レオンが安心したのを見てワニノコはスコープビレッジのことが気になったので訊いた。
「お前たちのときと同じだそうだ。エトとエルという名のナエトルがそう教えてくれた」
「偶然よね、あの子達がそのことを教えてくれるなんて」チコリータは苦笑いしながら言った。
「本当偶然だな。でも、よかった。みんな無事で」
「それより何か手がかりはあったか?」
ワニノコは図書館でみつけた本の話をした。
「これも偶然のようだな」話を聞き終わるとディンは言った。「目的地がコンセルトフォレストだとは。ならば明日皆でコンセルトシティに行こう。コンセルトフォレストは知らないだろうが危険な場所なのだ。凶暴な野生ポケモンがうようよしているからな。そんなコンセルトフォレストに詳しい人がコンセルトシティにいるのだ。その人に話しを聞いてからのほうがいいだろう」
第十話終了第十一話に続く……
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