フェニックス砂漠はスコーピオン砂漠と違い、砂嵐に見舞われながら歩くこととなった。視界に映るのはほとんど砂ばかりで目が砂で埋まってしまうのかとも思われた。この砂嵐は彼らが目指している『竜巻ができている場所』から起こっている。『竜巻ができている場所』で竜巻ができている理由は不明だが、今まで竜巻が起こってから止まったことがないといわれるほどのものである。
「ん? 誰かいるな……」
先頭を歩いているレオンを差し置き、その後方から歩いているワニノコが前方に誰かを発見した。それを聞いたレオンはその場に立ち止まり言った。
「スコーピオン――? いつでも手持ちを出せる準備をしておけよ」
四人はみなボールに手をかけた。そして、何かが近づいてくるのを待ち構えた。
だが、そこに現れたのはスコーピオンの連中ではなく、ヒノアラシとワニノコとアブソルの三匹だった。
「あれ、あなたたちは?」四人をみた相手のヒノアラシが訊いてきた。
「それはこちらのセリフだ」とレオンは言った。「こんな砂嵐の中で何をやっているんだ?」
「僕たちはこの辺りに『竜巻ができている場所』っていうところを探しているんだ」と相手のヒノアラシは言った。「あなたたち知りませんか?」
ワニノコたちはこの人たちがスコーピオンの人間ではないかと考えた。『竜巻ができている場所』を探しているものはレジェンディアとスコーピオンだけなのだから。この人たちがレジェンディアのものでないのだから、残りはスコーピオンという選択肢しかない。だが、この人たちがスコーピオンのものであるとはまったく感じられなかったのでレオンは質問をすることにしてみた。
「そこに行って何をするんだ?」
「そこにスコーピオンとかいう悪いやつらがくるそうでな」と相手のヒノアラシの後ろにいるアブソルが言った。「そこを見張らなければならないのだよ」
「俺たちはそういう風に頼まれてるのさ」と、相手のワニノコは付け加えた。
「誰に依頼されたんだ?」
「トレンドさんっていう方だよ」と相手のヒノアラシは言った。
レオンはその名を知っていた。トレンドというのはこの島の発見者であり島民を増やした家でこの島の政治はトレンド家が支持をしているようなものなのである。
「わかった。私たちはチームレジェンディアというものだ。トレンド様から聞いたことはないか?」
「その名なら知っている」とアブソルは答えた。「あなたたちがチームレジェンディアなのか?」
「そうだ」とレオンは答えた。
「私たちはチーム突風という」とアブソルは言った。「はるか遠い場所からトレンドさんにここまでつれてきてもらった」
「私もその名前なら知っている」とレオンは言った。「チームレジェンディアと突風か。お互い目的は同じことだ。ここからは共に『竜巻ができている場所』に向かおうではないか!」
みなはそれに同意し、自己紹介を始めた。その自己紹介で、相手のワニノコの名前はゲイト。相手のヒノアラシの名前はアラシ。アブソルの名前はソルであることをワニノコたちは知った。
七人旅はとてもにぎやかになるとヒノアラシは思ったが実際はいつもと同じだった。普通の旅であるならばそうなっただろうが今は緊張感がたちこめ、また砂嵐の中なのだから話すのも大変なのだ。現に先ほどの会話も相当苦労してレオンたちは話をしていたのだ。
そんな状態で歩き続けているとだんだんと砂嵐の勢いがひどくなってきた。もう二メートル先はみえない状態になりながら先に進むと、風の音が聞こえてきた。その音は激しく風がうなるようだった。
「どうやらここが『竜巻ができている場所』のようだな」とレオンはつぶやいた。
「僕たちは任務どおりここで監視をしています」とアラシは言った。「レジェンディアの皆さんは中に入ってみてください」
「中に入る?」ワニノコは驚き言った。
「あれ? 知らないんですか?」
「こいつらには話していないだけだ。今から話すよ。突風の人たちは監視を続けてください」とレオンは言った。
「実はこの竜巻の中心部には地下へと下りる階段があるんだ」レオンは続けていった。「その下には例の秘宝のことが記されている遺跡があるんだ。スコーピオンはそれを狙っているんだろう。だから、ここは突風の人たちにまかせオレたちは中での監視をしなければいけない」
「でもどうやって突風の中心部に行くんだよ?」とワニノコは訊いた。「あんな強い竜巻の中になんか入れないんじゃないか?」
「入れないこともない」とレオンは答えた。「オレたちのわざを結集させれば竜巻に一時的に穴が開くはずだ。そこをついて中に入ればいい」
「でも、そんなこと本当にできるの?」チコリータは訊いた。
「できるはずだ。やってみないことにはわからないが。とにかくやっていないことにはわからない。やるしかないんだ」
レオンはそういうとライボルトを出した。それをみたワニノコたちもそれぞれ主力のカメックス、リザードン、フシギバナを出した。
「それぞれ究極わざを頼む。オレはかみなりを放つしかないが」
「わかってるよ。さあ、いくぜ!」
三人はレオンの合図で同時に究極わざ、ハイドロカノン、ブラストバーン、ハードプラントを放った。それにかみなりが続く。
「いまだ! 走れ!」
レオンは大声でそう叫ぶと、レジェンディアのものたちはみな竜巻の中に姿を消した。
「入って行ったね、ゲイト」その様子をみたアラシは言った。
「そうだな。さあ、俺らもしっかりと見張りをしないと。こんな砂嵐の中だし見にくいのは確かだけどね」
「何とか入れたな……」
竜巻の中に入れたワニノコは疲れた様子でつぶやいた。竜巻の中は無風で砂嵐もない。上空の陽に彼らは照らし出されていた。
「よくやった、三人とも。だが、休むのは中に入ってからにしよう」
竜巻の中には地下へと続く階段がそのままあったので探す手間はなかった。その階段が隠されていたという痕跡はなく、誰かが最近入った形跡もなかったので彼らは安心して中に入って行った。中はほとんどスコーピオン砂漠の遺跡と同じだったが、分かれ道がないところだけが異なっていた。この遺跡では道は一本しかなく直接広間へとでるのであった。
「お前ら!」
広間に入ったワニノコたちが見たのはボーマンダとドラピオンたちの姿だった。彼らは奥にある壁に書かれている文字を読んでいたが、ワニノコのその声で後ろを振り向いた。
「おお、これはこれは雑魚のトレーナーたちか。こんなところまでご苦労さん」ボーマはいった。
「お前たちなにをやっている!」
「みてわからないのか。仕方ないか。お前たちは馬鹿の塊なんだからな」
「なに!」
ワニノコは逆上したが、それをレオンは押さえていった。
「お前たちがスコーピオンだな」
「誰だお前? こないだはいなかったな」
「オレはチームレジェンディアのレオン。お前らもレジェンディアがこの島にいることは知っているだろ? その一員だ。お前らをここで捕まえさせてもらう」
チームレジェンディア――その言葉を聞いたボーマは一瞬ひるんだように思われたが、強気の姿勢で言い返した。
「レジェンディアの一員か。ふん、だからなんだというのだ。レジェンディアといえど残りのものは雑魚どもだ。レジェンディアメンバーが一人ではたちうちできまい」
「それはどうかな」
レオンのその余裕の姿勢にボーマは何かあると思った。
「その自身――ふふ、だったらおれらは退散させてもらおう。お前と戦うといやな予感がする」
「させるか! ライボルト! 十まんボルト!」
レオンは早急にライボルトを出しボーマに十まんボルトを放った。しかし、ボーマたちスコーピオンは十まんボルトがあと少しであたるというときにテレポートでその場から消えてしまった。
「奴がボーマか」とスコーピオンが消えるとレオンはつぶやいた。「確かになかなかのやり手のようだな」
「そんなことがわかるの?」ヒノアラシは訊いた。
「ああ。それより壁の文字をオレたちも読むことにしよう。あいつらが行った場所がわかるかもしれない」
四人は奥の壁に近づき、壁に書かれている文字を読んだ。そこにはこう書かれていた。
――さそりと不死鳥。彼らの戦いの地に宝と伝説は眠らん。
第九話終了第十話に続く……
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