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地下の遺跡

 石版を見つけたオアシスへ向かっているときと比べ、次のオアシスへと向かうのはまだ楽だった。陽は少しずつ傾き始め気温が比較的下がってきているのだ。それでも、まだ暑いのに変わりはなかった。

 二つ目のオアシスにたどり着いたのは一時間後であった。まだ陽はのこっており、ちょうど三時ぐらいと思われる。二つ目のオアシスは一つ目のオアシスと木の位置や泉の位置が少し変わっているだけで、見た目はほとんど変わっていない場所だった。

 ワニノコはすぐに泉の中へともぐりこんだ。一つ目のオアシスが隠されていた場所に二つ目のオアシスにもあるのではないかと単純な考えであった。それに対し、チコリータは「そんな単純なわけがない」といい否定していた。だが、それは正しくなく二つ目の石版をワニノコは地上へと持ち出した。それを見てみるとやはりスコーピオン砂漠の図が書かれており、下に読めない文字が記されていた。

「またこの文字か」ヒノアラシはつぶやいた。「どうすればこの文字は読めるのかな?」

「いったん、スコープビレッジに戻らない?」と、そう言い出したのはチコリータだった。「私たちの考えじゃわからないなら、村の人達に聞けばわかるかもしれないわ。それに、あの村にはお年を召されている方が多いようだから意外と読めるかもよ」

 スコープビレッジに戻れたのはもう真夜中だった。昼間の気温はどこへいったのか相当低く、ヒノアラシとチコリータが参ってしまっていた。真夜中であったこともあり、もう村の人々は眠ってしまっていた。また、ワニノコたちも疲れていたのでこの日は宿に戻り睡眠をとることとした。

 翌日、まずは村長の家へと向かった。この村の老人に片っ端から訊くより村長が知っている、この文字を読めそうな人をどんどんあたって行ったほうが効率がいいとチコリータが提案したのだ。だが、わざわざ村の老人達にあたる必要はなくなった。

「ああ、これなら私が読めますよ」

 村長はワニノコたちが予想していなかったことを口にしたため、一瞬驚きでボーとしてしまったが我に戻ったヒノアラシが念押ししてみるとやはり読めるとの返事が返ってきた。

「私はおじいちゃん子でしてね。いろんなことを知っているのです。それが村長に就任した理由の一つなのです」

「それより、石版にはなんて書いてあるんですか?」ワニノコは村長の話を無視して訊いた。

「どちらとも同じことが書かれています。『石版は二つあり。両者の中央にそれをはめれば道はあらわれん』と」

 ワニノコたちはその意味を考えたが、誰も理解することはできなかった。悩んでいる彼らを見た村長は訊いてきた。

「この二つの石版はどこにあったんですか?」

「スコーピオン砂漠の二つのオアシスです」と、チコリータが答えた。「この石版の意味はわかりますか?」

「ああ、わかるよ。『両者の中央』ということは、石版の中央じゃないんだよ。石版を見つけた場所の中央ということだ。つまり、オアシスとオアシスの間に台座か何かがあるんだろう。そこにこの二つをはめれば新しい道が開かれる、ということさ」

 彼らは村長を尊敬してきた。当初会った時は頼りない人だと思っていたが、石版の文字を読みその意味をちゃんと理解しているのだ。彼らにわからなかったことを。

 村長は石版をワニノコに返し言った。

「どうやら君たちは数多くのトレージャーハンター達が狙っている秘宝の手がかりをたくさん持っているようですね。どうかお気をつけて。その情報をハンター達が仕入れたらあなたがを襲うでしょうから。くれぐれも慎重に」


 太陽が西に傾き始めた頃、ワニノコたちはオアシスとオアシスの間らへんに来ていた。この日も日照りが強くワニノコは萎えてしまっていた。オアシスとオアシスの中央などわかるはずもないので、彼らは鳥ポケモンたちを使い空から強引に中央を割り出そうとしていた。

 鳥ポケモンたちの体力が半分ほどまで減った頃、リザードンが何かを発見したのかヒノアラシに伝え始めた。彼らはリザードンの後を追いかけた。リザードンが発見したものは二つあった。一つは台座らしきもの――これこそ彼らが探していたものである。二つ目は、台座の辺りを調べているボーマンダだった。

「誰だお前達?」ボーマンダは怪しい目つきで彼らを見渡し、怒ったような口調で訊いてきた。ワニノコはそれに対して返答しようとしたが、先にチコリータが返答をしたので返答をとめた。

「私たちは旅をしているんです。ところで、あなたは何をしているんですか?」

「これを調べていたんだよ」台座を指しながらボーマンダは言った。「たまたまここを通りかかったらこんなものがあったからな。だが、ここには何もないよ。いくら調べても何もありやしない」

 ボーマンダはそう言うと翼を広げ空へと飛んで行った。

「行ったわね」ボーマンダが見えなくなるとチコリータはつぶやいた。

「どうして旅人って嘘ついたの?」ヒノアラシはチコリータに訊いた。

「ここを調べてたら相手もトレージャーハンターかもしれないでしょ。こういうときは注意をして自分の正体を明かさないのよ。それより台座に石版をはめてみましょ」

 台座は平たい岩に乗っており、三段とない階段を上り台座の前に立った。台座は横に広くなっており、四角い形をしたくぼみが二つあった。ワニノコはそこに二つの石版をはめた。だが、一向に何も起こる気配などない。

「変だな。何にも起こらないぜ」

「石版が逆なんじゃないの?」

 ヒノアラシにそういわれワニノコは石版の位置を入れ替えてみた。すると、今度は変化があった。台座が乗っている岩が前に動き始めてではないか! そして、岩があった場所には下へと続く階段が現れた。中は暗く何も見えない。

「リザードンの火を頼りに行こうよ。なんだったら僕の炎でもいいけど」

 ヒノアラシのその提案に対してワニノコとチコリータは前者を選んだ。ヒノアラシの炎では小さすぎるからあまり変わらないのではないかと思ったのだ。リザードンの火で中を照らすことはたわいもないことだろう。実際、そのとおりでリザードンのおかげで――ほんのり暗い部分があるが――明るい中を歩くことができた。

 中は石が何層にも積み上げられてできていた。レンガ造りの家と同じ構造なのだろうか。階段は長く、入り口の光がとても小さく見えるところでやっと階段が終わった。階段が終わった場所は二手に分かれており、彼らは左をとった。

「なんだよ行き止まりか」

 左に進路をとってから三十分ぐらいたったころ。彼らは行き止まりにぶつかってしまった。入り口に戻るため、また三十分もかけて戻ると今度はちゃんと右の道へと進んだ。入り口の光はかすかに見えていたままだった。

 右の通路を奥へ進むとかすかな光が見えてきた。リザードンの明かりはそこまでとどいていないので別の明かりが見えているのだ。彼らは一体、なにがあるのだろうかと興味を持ち、また、不安を募らせた。

 光に近づいて行くと、それがゆらゆらとゆれているろうそくの光であることがわかった。なぜ、ろうそくの火が灯っているのか不思議がるワニノコたちだったが、何かがあるのはほぼ間違いがなかった。

「……フェニックス」

 不意に声が聞こえた。火が灯っている広間はもうすぐ近くにありそこから声が反響してきたのだ。広間に入るとそこには一匹のボーマンダが壁に書かれた鳥か何かの絵の下に書かれている文字を読んでいた。

「なにをやってる!」ワニノコは叫んだ。すると、ボーマンダは振り向き彼らの姿を確認すると言った。

「お前達は入り口にいた――そうか。お前達が我らの邪魔をしているというワニノコたちか」

「じゃあ、あなたはもしかして――」

 チコリータはいいづまった。目の前にいるのがまさかスコーピオンの連中であるなど信じたくなかった。この場所を見つけられたからにはスコーピオンは何かを始めるだろう。おそらく、ワニノコたちと同じ目的を持っているのだから。

「そう」とボーマンダは言った。「おれはスコーピオンの一員のボーマ。お前達が入り口を開けっ放しでいてくれて助かったよ。石版はお前達が持っているから我々はこの場所に入ることなどできなかったんだからな。
 お前達には感謝しているよ。だが、ここを見られたからにはお前達を外の世界に生かして戻すわけには行かない。我らの野望を邪魔する奴らはここで始末してやる!」

 ボーマはそう言うと前足につけているホルダーから一つのボールを取り出し、コモルーを出してきた。それに対して、ワニノコはカメックス。チコリータはフシギバナを出し、ヒノアラシはリザードンを出した。

「ふふ、三対一か」ボーマは不敵な笑いをみせつぶやいた。

 第六話終了第七話に続く……

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