スコープビレッジに到着したドラピオンの数は十匹でスコルピは二十匹ほど残っていた。スコルピはそうでもなかったが、ワニノコたちの前に現れたドラピオンはとても大きく感じられた。巨大な岩が前をたちふさぐように。
「なんだお前達? そこをどけ」
一番大きいドラピオンが声高に言った。他のドラピオンと外見は相違ないのだが、体は巨大であった。手と思われる場所には腕輪型回転式ボールホルダーが装着されている。
「一体なんのようだ?」ワニノコが訊いた。
「村長に会いに来た。そこをどけ」
「村長に会いに来ただって!」エトが叫んだ。「本当はただ単に食料を盗みに来ただけじゃないのか。砂漠で何をしてるか知らないけどここを荒らすのだけはやめろ!」
「生意気なナエトルめ。スコルピ! どくばり!」
ドラピオンたちの前にいる二十匹のスコルピはエトに向かって大量のどくばりを放った。だが、どくばりはチコリータのエアームドが受けエトを守った。エアームドには何のダメージもない。
「どうでもいいけど」とチコリータが言った。「そんなことをしたら村長に会うことなんてできないんじゃないの? この村の人を怪我させたらね」
「そんなことなど知ったことか! そこをどけ!」
ドラピオンはさらに声高に言った。だが、ワニノコたちは引き下がらない。その目は引き下がるどころかドラピオンたちを追い払うことしか考えていないようだ。
「そうか」ドラピオンは穏やかにつぶやいた。「ならば力づくでそこから引き下がってもらおうか!」
ドラピオンたちは目で少し合図してから一気に進軍を始めた。それに対してワニノコたちは攻撃を開始した。
「カメックス! ハイドロポンプ!」
「リザードン! かえんほうしゃ!」
「エアームド! エアカッター!」
近づいてくるスコルピにそれぞれの攻撃がぶつかる。それによってスコルピは一気に五匹まで減った。だが、親玉であるドラピオンにはまったくきいていないようだった。
ドラピオンの進軍は止まらない。三人と三匹はドラピオンの突撃によって飛ばされた。
「クッ。カメックス! ハイドロポンプ!」
飛ばされたカメックスは倒れたまま、その場から村の奥へ進もうとしているドラピオンたちにハイドロポンプを放った。後ろを見ていないドラピオンたちにそれは直撃した。だが、ドラピオンたちの進軍は止まらない。村のメインストリートを通り抜けて行く。
三人は立ち上がり後ろを追いながら攻撃を続けた。だが、いくら攻撃してもドラピオンたちはとまる様子がない。ワニノコはそこで思い立ったように、ドラピオンたちの前にれいとうビームを放たせた。その場は家と家に囲まれておりまっすぐ行くか戻るかしかない場所であった。
ドラピオンたちは長く続く氷の道をも走り始めた。だが、そのすべる道になれていないのかその場で転び始めたではないか。この土地は暖かい気候であるため、雪が降らないのだ。だから、つるつるの地面も経験したことがないのだろう。
「今だ! カメックス! ハイドロカノン!」
「よし! リザードン! ブラストバーンだよ!」
「出てきてフシギバナ! ハードプラント!」
チコリータはフシギバナを出し、三色の最強わざを放った。ドラピオンたちはかわそうとしたが、氷にすべりそれら三色のわざをすべて受けた。三人とエトたちはドラピオンたちに近づいていった。
スコルピたちは完全に体力を失い、戦闘不能状態になっていた。ドラピオンは三匹を残して皆戦闘不能状態だ。残った三匹のドラピオンは立ち上がった。
「どこまでも邪魔をするというのか」
「荒らすことなんて認められないからな」と、ワニノコは言った。「馬鹿なあの人と一緒のことをするのはいやだし」
「ちい。どこまでも邪魔をするというならば」と一番大きいドラピオンがつぶやいた。「お前達を消す!」
三匹のドラピオンはワニノコたちに向かって走り出した。ワニノコを除いた皆は横に避けた。
「なぁ、ここの地面がどうなっているのかは忘れたのか」ワニノコはつぶやいた。
ドラピオンたちははっと下を見た。そこにはいつもの土色ではなく、水色の硬いもの――氷。それを知ったドラピオンたちは急にバランスを崩しその場に倒れた。
「頼んだぞ! ピジョット! ふきとばしでこいつらを吹き飛ばせ!」
ワニノコはホルダーからピジョットを取り出してふきとばしを命令した。ドラピオンたちの体が宙に少しばかり浮いてきた。ドラピオンたちは何とか踏ん張ろうとしているが、下が氷であるためうまく踏ん張れない。そして、完全に彼らは宙に浮いた。
「いけぇカメックス! もう一発ハイドロカノンだ!」
前の発射から十分時間がたっている。カメックスは二発目のハイドロカノンをドラピオンたちにあて水平に吹き飛ばした。飛ばされたドラピオンたちはすばやく村の一番奥にある木の壁に衝突し、村の外から出るような形となった。
ドラピオンたちは気を失ってしまった。だが、一番大きいドラピオンだけは気を失わず、ボールに彼らをしまいこみその場から撤退して行った。
「あのドラピオンはボスだったんだ」ヒノアラシはつぶやいた。
ドラピオンの襲来がワニノコの活躍によってほとんど意味のないものとなった。だが、ワニノコたちは村長にお礼を言われその晩の夕食に村長宅へ行くこととなった。
村長の家といえど他の家とはたいそう差はなかった。だが、内装は異なり少し豪勢だった。村長はまだ若いフローゼルで村長らしくはなかった。
ワニノコたちはテーブルにつき、ドアから離れたテーブルの端に村長は座っていた。
最初は堅苦しい話から始まり、食事が始まった。食事は朝食べたものより相当豪勢になってはいたが、貴族が食べるような食事ではなかった。無論、それはワニノコたちも覚悟はしていた。覚悟していたというよりも、そういう食事の方がいいと思っていた。貴族が食べるような食事は堅苦しい話しより堅苦しくなるのだ。
「私はまだここの村長になってから一年目なのです」食事中に最初に話し出したのは村長だった。
「代々、この村はドダイトスが村長を務めてきていたのですが、今年になってそのドダイトスがいなくなったのです。なので、私が就任したんですよ」
ドダイトスといわれてもワニノコたちはわからなかった。村長の家に来る前にエトたちから、トレンドアイランドのポケモン一覧というものを見て勉強したのだが今ではまったく思い出せていなかった。
三人はその場にあうだろうと思うあいづちを適度にうった。
食事が終わり、皿も片付けられもう帰れるであろうというところで村長はまた別の話しを始めた。それについてはワニノコたちにとって興味津々の話しだった。
「皆様はこのトレンドアイランドの伝説について知っていますか?」
「伝説……海賊の秘宝のことですか?」ヒノアラシが言った。
「そうです。では伝説の不死鳥については知っていますか?」
「伝説の不死鳥? なんですかそれは」今度はチコリータが言った。
「海賊の秘宝と伝説の不死鳥はかかわりがあるのですよ。海賊の秘宝については知っているようなので説明しなくてもいいと思うのでしませんが、その秘宝を伝説の不死鳥が守っているということなのです。
その昔、この島には巨大な不死鳥が住んでいたのです――今も住んでいるかもしれませんが。それからしばらくして島に巨大なさそりがやってきたそうです。その巨大なさそりと不死鳥は戦ったそうです。結果は――不死鳥というなからしてわかるかもしれませんが不死鳥が勝利しました」
「それと秘宝についてはなんの関係があるんですか?」ワニノコが口を挟んだ。
「まだまだこれからですよ。――不死鳥はこの島に住むことにしました。何十年も何百年も。
そしてある時、その海賊達は不死鳥と運がいいのか悪いのか会ってしまったそうです。そこで不死鳥はそのものたちの悪事を懲らしめ、宝物を元の場所へ戻すように指示を出したそうです。この島を拠点として。その戻す作業の間に皆さんが知っているとおり海賊達は海に飲み込まれて、この世を去りました。残された宝物は不死鳥が預かり、元の場所に戻すものを待っている――という話しです。
本当なのかどうかはなんともいえませんがこの村にはこういう話しが伝わっています」
ワニノコは最初の戦った話しは結局関係ないんじゃないか――と思いながら、村長宅を後にした。
そして、翌日、当初の目的どおりスコープビレッジの宿はキープしながらスコーピオン砂漠へと向かった。
第四話終了第五話に続く……
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