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スコーピオン砂漠へ

 部屋に戻ったワニノコにチコリータはヒノアラシがまとめたという紙を渡した。

「それを探し出すのに、バッグから全部荷物を出したのよ。本当に大変だったんだから」

 紙にはトレンドアイランドに眠っているという秘宝についてのまとめだけが書かれていた。それは以前、ヒノアラシから渡された本に書かれている内容がまとめられているだけだった。だが、最後の一節に「秘宝は砂漠に眠る」と書かれていた。

 読み終わると、チコリータに紙を返して言った。

「秘宝っていうのは砂漠に眠っているのか?」

「噂によればだけどね」

「だったら大変そうだなぁ。砂の下に埋まってたらそりゃ見つからないわな」

「そうなんだよ。しかし、この島には二つ砂漠があるんだ」

 そう言ってヒノアラシはトレンズアイランドの地図を渡した。東と西に砂漠はあり、東の砂漠をフェニックス砂漠。西の砂漠をスコーピオン砂漠という。共に砂漠の形が東は不死鳥に、西はさそりの形に似ているからそのような名前がついたという。

 東と西の砂漠の間には森が挟まれている。その森はコンセルトフォレストと呼ばれており、北と南にも名もなき小さな森が存在している。コンセルトフォレストの南西にはコンセルトシティが存在している。

 今、ワニノコたちがいるビギーンシティはコンセルトシティ南に位置している町で、北に行けばスコーピオン砂漠が位置している。逆にフェニックス砂漠は南の森を隔てた先にあった。それによって、明日行く砂漠はスコーピオン砂漠に決定した。


 宿を出た三人はまっすぐスコーピオン砂漠を目指しビギーンシティを後にしようとしていた。だが、ビギーンシティを出る前に三人が知っている人物達と再会した。それは再会したくない相手だった。相手も三人で、ブーバー、ブラッキー、アブソルの三匹だった。

「お前らとここで会うとはな」

 そういやみに言ったのはブーバーだった。

「それはこっちのセリフだ、ヒート! それにブラグ!」

「よく覚えていたな。光栄だぜ」と、ブラグが言った。

 ブーバーのヒートとブラッキーのブラグとは因縁の関係をワニノコたちは持っていた。

 かつて、ワニノコたちがワニノコの父オーダの野望をとめる旅をしていたとき、オーダから送られてきた刺客がヒートとブラグだった。両者ともワニノコたちを殺すために送られてきた処刑人だっただけあり、バトルの腕はかなり高い。

 だが、アブソルだけは三人にも誰かはわからない。当時、アブソルという刺客はいなかったからだ。

「こんなところで、お前達一体何をしてるんだ?」

 ワニノコはアブソルのことを気に留めることもなく、強い口調で言った。

「おいおい、そんな悪者みたいな言い方はやめてくれよ」と、ブラグが言った。

「俺たちは悪いことからは足を洗ったんだぜ」

 ワニノコたちは疑いの目を向けた。それがわかったのか、ヒートは言った。

「本当だよ。オレたちはスコックスカンパニーで働いてるんだぜ。なんなら調べてみな」

「そんな調べるつもりなんかないわ。いちいちそんな面倒なことしてられないもの。それより、そっちのアブソルは誰?」

 今まで話題にもされなかったアブソルについての話題に移った。アブソルはヒートとブラグの前に出て言った。

「初めまして。僕はブレーズといいます。ヒートさんとブラグさんからかねがねきいていますよ。なんでもすごいバトルの持ち主だとか」

「ああ、それはワニノコだよ」とヒノアラシは言った。

「なんたって、国内大会で優勝できたのはワニノコのおかげだからね」

 オーダとのバトルが終了し、数ヶ月が立った頃に国内の学校別にバトルを行う国内学校別大会が行われていた。その大会でワニノコたちが所属していたセント小学校は優勝したのだ。その時の決勝戦で、勝敗を決めたのはワニノコの勝利だった。

「さて、そろそろ時間だ。行くぞ、ブレーズ、ブラグ」

 ヒートは二人に呼びかけ、角を曲がりワニノコたちの前から姿を消した。ワニノコたちはビギーンシティを後にしスコーピオン砂漠へと向かった。

 スコーピオン砂漠の途中にスコープビレッジという村がある。スコープビレッジには水も湧いており自然の中にできている村であるため、近代社会になじめない老人などが多く住んでいる。最近ではスコーピオン砂漠で秘宝を探しているトレージャーハンターたちが宿に泊まり、村の資金も増えているという。

 そんな村にワニノコたちも来ていた。スコーピオン砂漠に到着する時には夕暮れ時になるだろう、というビギーンシティの宿屋の主人の言葉からスコープビレッジに急遽、寄り道をすることとなったのだった。事実、スコープビレッジに来た時には少しずつ暗くなり始めていた。

 宿で部屋を取った彼らは自由行動をすることとなった。もうすぐ夕暮れ時だ。このままスコーピオン砂漠に行くこともできないし、宿にいてもやることがないので村の中なら自由にしてよいということになった。

 空に点々と光が輝き始める少し前に三人は宿に戻ってきた。三人は食事をするために階下にある食堂で食事をした。

 食事中に料理を持ってきたのは、ワニノコたちが見たことのないポケモンだった。頭には苗のようなものがあり、ワニノコより身長は少し高いが苗の部分があるおかげである。苗の上には皿が乗っている。

「あれ? 君はなんていうの?」と、苗のポケモンから見て奥に座っているヒノアラシはそのポケモンに訊いた。

「僕はエトっていいます。ナエトル科のポケモンです。はいこれを取ってください」

 チコリータがつるをうまく使いエトの苗に乗っている皿を取り机に置いた。エトはその場から離れようとしたが、不意にワニノコの腕の腕輪型回転式ボールホルダーが目に入った。

 エトは目を輝かせ、ヒノアラシとチコリータも見た。ヒノアラシとチコリータにも首についている首輪型回転式ボールホルダーがあることに気づき、エトは席の手前にいるワニノコに訊ねた。

「あの、もしかしてトレーナーさんですか?」

「ああそうだけよ」

「すごいや!」エトは感嘆の叫びをあげた。

「じゃあ、そのボールには別のポケモンが入ってるんですね。もしよかったら、明日にでもバトルを見せてもらえませんか?」

「いいよ。じゃあ、明日の朝ここに来るだろうからそのときにね」

 エトがうなずくと苗のところにピンクのリボンをつけたナエトルがやってきて、エトを連れ去っていった。

 翌日、食堂で食事をしているとエトとピンクのリボンをつけたナエトルがやってきた。エトはそのナエトルをエルと紹介した。エルもトレーナーに興味があり、バトルを見たがっているのだという。

 食後にワニノコたちとエトとエルは村で一番広い公園に出てきた。まだ人はほとんどいないため、バトルしても問題ない状態だった。バトルするのはワニノコとチコリータだった。ヒノアラシはあえてバトルすることを避け、ナエトルの二人と一緒にバトルを観戦することにしたのだ。

 ルールは一対一のシングルバトルだった。エトとエルがわざわざルールも決めてくれたのだった。たくさんバトルさせると大変だろうから――という二人の心遣いもあった。

「それじゃ行くぜ!」

 ワニノコが腕に身につけているホルダーからボールを抜き出した。と、その時、村中に鐘の音が鳴り響いた。

「スコーピオンだ! スコーピオンが来たぞ!」

 高見台から鳴り響く鐘の音と監視役の声が村中に響き渡る。それを聞いているエトとエルは困惑し始めていた。

「一体なにが起こったの?」ヒノアラシがエルに訊いた。

「来たんだわ、スコーピオンが。この村を襲ってくる“スコーピオン”という集団が」

 ワニノコたちは村の入り口に急いだ。荒らされると知りそれを食い止めようと決めたのだ。入り口でバトルをして、スコーピオンの暴走を止める――そう決心したのだ。

 入り口にたどり着いた時にすでにスコーピオンはもうすぐそこまで来ていた。スコーピオンと呼ばれた集団の中にいるのは紫色のさそりのようなポケモンだった。数はざっと十匹ほどいる。そのポケモンたちの前にはさらに小さい紫に近い青色のさそりが大量にいるではないか。

 エトは、前者がドラピオン。後者がスコルピという科に属しているということをワニノコたちに教えた。

「行け! カメックス!」

「がんばって! リザードン!」

「頼んだわ! エアームド!」

 ワニノコはカメックスを。ヒノアラシはリザードンを。チコリータはエアームドを出して、スコーピオンが来るのを待ち受けた。

 スコーピオンの集団が彼らのわざの射程圏内に入るとそれぞれ、ハイドロポンプ、だいもんじ、エアカッターを放ちスコーピオンの進軍を阻止し始めた。

「敵襲! スコルピ! どくばりを放て!」

 一匹のドラピオンがスコルピたちに指示を与えた。どくばりが三匹のポケモンたちめがけて飛んでくる。だが、ここはリザードンのかえんほうしゃでどくばりをもやしつくして回避し、さらに攻撃を続けた。

 だが、スコルピたちはやられてもドラピオンたちの進軍は止まらない。そして、ワニノコたちの前に彼らは到着した。

 第三話終了第四話に続く……

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