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チームレジェンディア

 ワニノコたちは、大海原と大空にサンドイッチされていた。

 フェリーの甲板はさほど広くはないが、大海原を一望することはできた。後ろの上を見ると煙突らしきものもある。甲板入り口からまっすぐ行くとそこが甲板の先端だった。

 ワニノコとチコリータは、甲板先端で大海原を眺めていた。だが、相変わらずヒノアラシはその場にはいなかった。

 ヒノアラシは臆病な性格であるため、海に落ちるのではないかと考え甲板に出ることが嫌いなのだ。だが、ワニノコに無理やり甲板につれられてきている。この日も先端にこそいないものの入り口付近にいた。

「たっく、相変わらずだなぁ、ヒノアラシも」

 と、大海原の景色にも飽き始めたとき、ワニノコはつぶやいた。

「性格だけはどうしようもないわよ」

「そうだけどさ。やっぱり、そろそろ慣れてもらいたいもんだよ」

「そろそろって、まだ今日で三回目じゃない。帰るときに四回目だけどね。ところで、秘宝探しするのはいいけど何か手がかりでもあるのかしら? こういう、時間を使って検討するのが時間節約にあると思うんだけど」

「だったら、そうするか。手がかりはヒノアラシが持ってるんじゃないかな?」

 ワニノコたちは甲板先端から入り口にいるヒノアラシのところへ行き、手がかりがあるのかどうか訊いた。

「手がかり? ああ、あるよ。部屋にある紙にまとめてあるんだ。見たいなら部屋に戻ろうか?」

「ああ。もう、甲板にいてもやることがなくなったからな」

 ヒノアラシとチコリータは先に行き、ワニノコが最後に甲板を去ろうとした時、ふっと後ろから聞いたことのある声が聞こえてきた。

 その聞いた事のある声は二種類で両者とも♂。一年ぶりぐらい聞いていなかったのではないだろうか? ワニノコは後ろを振り向き、あたりを見回すと、懐かしい姿を見た。

 予想通り二人いて、片方はオオスバメ。もう片方は後姿なのでよく見えないが、わずかながら前髪がはねているピカチュウだ。

 ワニノコはいたずら半分に、二人の間にみずでっぽうを放った。みずでっぽうはうまく二人の間を抜け海へと落ちた。そのみずでっぽうの横にいた二人は急にこちらに顔を向けた。

「あぶないやつめ……」

 振り向いて最初に言ったのはピカチュウだった。やはり前髪がはねている。

「おいおい、久しぶりの再会だろ? そんなこというなよ」

「久しぶりの再会でもあぶないだろうが。相変わらずだな、ワニノコ」

 と、今度言ったのはオオスバメのほうだった。

「まあまあ、それほど当たっても痛くないですよ、オオスさん。ところで、これまたレオンとオオスさんがこんなところで何やってるんですか?」

 前髪がはねたピカチュウはレオンという名前で、オオスバメはオオスという名前だ。二人はチームレジェンディアというチームに所属しており、数々の任務をやり遂げてきた強豪チームだ。
 ワニノコもこのチームに所属しているが、学校があるためレジェンディアのリーダーであるフーディンのディンからじきじきに召集されない限り任務には参加していない。

「これからトレンドアイランドに向かうところだ」レオンが言った。

「おお! 奇遇だな。俺らもトレンドアイランドに行くんだよ」

「俺ら?」

「今はちょっといないけど、ヒノアラシとチコリータも一緒なのさ。何しに行くんだ?」

「ディン様から呼ばれてな。トレンドアイランドで任務が私たちを待ってるのだ。そういう、お前こそなにをしにいくんだ?」

 そういったのはオオスだった。その問いにワニノコは答えた。

「宝探しかな。トレンドアイランドに眠っているっていう秘宝のね。ヒノアラシの奴が、いこうっていいだしたから俺らも行くことになったんだ」

「くだらんな」

 レオンは吐き捨てながら言った。

「なんだよ、レオン。お前、相変わらず口調はそのままか。過去にこだわるなよ」

 ワニノコとレオンが最初に出会ったときのレオンは、優しい性格で口調も穏やかだった。だが、一年前にワニノコと再会した時には今のような口調になってしまっていた。それには深い事情があり一言で表せるものではない。ただ唯一いえることは、レオンが口調や性格を変えることで自分に力を。勇気をつけさせたのだ。

「お前の思っているほど軽い問題ではない」

「たっく。オオスさんも大変ですね。レオンと一緒でさ」

「そうでもないさ。レオンは頼りになる奴だからな。それにもう慣れたよ」

 その時、チコリータとヒノアラシが甲板入り口に現れた。どうやら、ワニノコがついてきていない事に気がついて引き返してきたのだろう。

 チコリータが甲板にいるワニノコに「なにやってるのよ!」と、怒鳴りつけると、近くにレオンとオオスがいることに気がついた。

「あら、お久しぶりです」

「久しぶり。宝探しをしにトレンドアイランドにいくんだって?」

 そういったのはオオスだった。レオンは黙っている。

「ええ。ヒノアラシがそういう――なんていうのかしらね――冒険のネタを持ってきたから、行くことになったのよ。ちょうど、中学にあがるための長期休暇中ですから」

「そうだったのか。こいつはそんなこといいもしなかったな」

「そんなこといっても、しかたがないじゃないですか」

「ところで、君たちはどこにいくの?」

 ヒノアラシが訊いた。すると、ワニノコに話したことをもう一度繰り返した。

「まあ、宝探しは気をつけることだな」

 レオンが言った。

「あの島にはうじゃうじゃトレージャーハンター達がいる。何かしらのトラブルに巻き込まれないようにな」

「ああ、わかってるよ。レオンたちは何の任務をするんだ?」

「それは答えられないな。お前とオレたちの目的は違う。目的が違うものにたいして任務内容を教えることはできない。いくら、お前がレジェンディアのメンバーでもな」

「どうしても知りたいなら、私たちと来るんだな。そしたら教えてやってもいいぞ」

 と、オオスがワニノコを勧誘し始めた。いくら、レジェンディアの補佐要員みたいなワニノコでも、レオンと同等――もしくはそれ以上の力を持っているので、レジェンディア内でも歓迎されるのだ。

 ワニノコはちょっと考えたが、オオスの誘いを断った。

「内容は知りたいけど、もともとヒノアラシたちと一緒に来たわけだし、オオスさんたちにはついていけないよ」

「そうか。ならば、仕方あるまい。任務の内容も教えられないな」

「当然だ。オオス、部屋に戻るぞ」

 レオンとオオスは、ワニノコ以外の二人に軽く会釈して甲板から出て行った。

 ワニノコはやれやれと思いながらも、自分達も部屋に戻っていった。

 彼らの部屋割りは、♂と♀で別れていた。つまり、ワニノコとヒノアラシで一つの部屋でチコリータは一人で一つの部屋を使っていた。甲板から戻ってきたとき、チコリータは共同部屋へと足を運んだ。

「さて、じゃあ、ヒノアラシ。まとめの紙を出してよ」

 部屋に入るやいなやチコリータはヒノアラシに言った。ヒノアラシは自分のそれほど大きくないリュックの中をあさり始めた。

 その部屋は十畳ほどの広さで入り口から向かって右側に二段ベッドが置いてある。だが、そこには布団などはまったく置かれていなかった。ワニノコはみずタイプなのだから、あったかくする必要はないからだろう。ヒノアラシはほのおタイプなので布団はいるはずだが、布団があってしまってはもやしてしまう危険性がある。だから、しかれていない――いや、しいていないのだろう。

 ヒノアラシはまだバッグの中をあさっている。ヒノアラシの体長より少し小さいバッグだが、バッグの中に入る量を超えているため大きく膨らんでいる。

 と、その時、ヒノアラシは大きな声で「あった!」と叫んだ。

 紙はくちゃくちゃになっていて、チコリータがつるで器用にシワを伸ばした。そして、紙に書かれている文字を読み始めた。

「あれ? ちょっとヒノアラシ! これは学校のプリントじゃない!」

 取り出された紙。それには学校のお知らせが書かれていた。ヒノアラシは頬を真っ赤にして紙を取り上げ間違っているのを確認した。

 すると、ヒノアラシは弁解するように早口でしゃべりだしたため、何を言っているか全然わからなかった。

 そのうち、船内にアナウンスが流れ始めた。

「ご乗船ありがとうございました。まもなく当船はビギーンシティに到着いたします。降船する方は――」

 それを聞いたチコリータはヒノアラシに「今はいいよ。降りる準備をしよう」といって、ヒノアラシは探すのをやめた。

 そして、彼らはトレンドアイランドのビギーンシティに降り立った。

 第一話終了第二話に続く……

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