「それでは、二次審査第二試合を開始します!」
フィールドの両サイドには、ルリカとシハルがたっていた。共に視線の先にあるのは相手の姿のみ。シハルの目には鋭い闘志のような光があったが、ルリカの目には闘志こそあるが鋭くはなく、どこか緊張した光も混じっていた。初めての二次審査だ、緊張するのも無理はないが。
「それでは二次審査スタート!」
ビビアンのその言葉が発せられると、ステージ中央にあるモニターの時計が動き出した。時計の両隣にはそれぞれ、彼女らのポイントが表示されている。
「頼んだわよ、アーティー!」
「ロゼリア、がんばって!」
ルリカはアーティーを出し、シハルはロゼリアを出した。アーティーの登場は普通だったが、ロゼリアは多少なりとも演技を加えた登場だった。が、それはポイントには影響されない。あくまで、影響するのはバトル中だけだ。
「アーティー! ぎんいろのかぜ!」
「ロゼリア! ねをはるからマジカルリーフ!」
向かってくるぎんいろのかぜにたいしてマジカルリーフはまるで、それを引き裂くかのような起動でアーティーを襲った。ぎんいろのかぜ自体もロゼリアに襲ったが、ねをはるにより、その場に耐えて、あたかもダメージをほとんど受けていないような状態だったため、ポイント軽減は低かった。アーティーは吹き飛ばされたので、ポイント軽減はシハルのものより多かった。
「ねをはってるロゼリアは動けないわ。アーティー! かぜおこしよ!」
かぜおこしは見事命中し、シハルのポイントは下がった。
「ロゼリア! どくばりとマジカルリーフ!」
かぜおこしが終了すると、ロゼリアはどくばりを発射した。そのどくばりを囲い、まるではじかれないようにするための護衛としてマジカルリーフを添えてアーティーを襲う。
「アーティー! 横に移動してかわすのよ!」
その指示は見事達成された。しかし、マジカルリーフは必ず当たるわざ。マジカルリーフに囲まれたどくばりはその効果を得て、二つの融合わざはみごとにアーティーを襲った。その不意な攻撃によって、アーティーは床に倒れこみ、それによってポイントが大きく減少した。
「そのまま、はなびらのまいよ、ロゼリア!」
「アーティー! ぎんいろのかぜ!」
ロゼリアのはなびらのまいが放たれ、少し遅れてからぎんいろのかぜが放たれた。だが、それにもかかわらずぎんいろのかえははなびらのまいの花々を蹴散らし、アーティーにはダメージはなかったがロゼリアにはダメージを与えるということを成し遂げた。
それをみたルリカは、アーティーが唐突に強くなったような気がした。このぎんいろのかぜはいつもと威力が違ったのだ。だが、そればかりは気にしていられない。次の攻撃、かぜおこしを指示し、ロゼリアを攻撃した。
はなびらのまいが実質はずれてしまったので、ロゼリアははなびらのまいに固定してわざを使う必要がなくなったのだが、見事にかぜおこしを受け、ポイントと体力を減少させた。このとき、ルリカのポイントはまだ、四分の二程度だったが、シハルのポイントは残り半分をきった。
「ロゼリア! あまいかおりからくさぶえ!」
「アーティー! ふきとばしで香りを吹き返して!」
ロゼリアの前者の攻撃は見事に失敗に終わったが、くさぶえの音色はふきとばしで飛ばすことができなかった。アーティーはくさぶえによりねむり状態におちいってしまい、地面にやさしくおち、その場で眠り始めた。これによって、ポイントは下がった。
「ふふ、しんぴのまもりを使えばよかったのに」シハルはアーティーが眠るとつぶやいた。「ロゼリア! あまいかおりからどくばりマジカルリーフよ!」
ロゼリアは再度あまいかおりを使い、それを眠っているアーティーはかわすことなどできなかった。そして、その次のマジカルリーフに包まれたどくばり攻撃をも受け、ルリカのポイントはどんどんと下がって行く。
ルリカは必死におきるように声をかけるが、アーティーは起きる様子ひとつすらみせることがなく、そのまま眠ってしまっている。
「ポケモンも」とシハルはいった。「甘い香りとかをかぎながら寝ると、気持ちよさそうに眠るのよね。まさに、こういうときに使うとこうかはあがったりするのかも」
「アーティー、おきて!」ルリカは訴えかけるような声になりながら、アーティーを呼ぶが、やはりそれでもおきる様子はみせない。
「ロゼリア! これでフィニッシュよ。はなびらのまい!」
美しい花びらがアーティーを襲った。その攻撃によって、ポイントも減少されてしまい、また、アーティーの体力も限界に達していた。どちらかが先に尽きるかを待つばかりといわん状態だった。結果的には、ポイントがなくなったことにより勝負は終わり、アーティーの――ルリカの負けが決定した。
ポイントがなくなったことによっての負けだったが、実際、アーティーの体力がもうあと少しで完全になくなることをルリカは会場にあるポケモン回復機でアーティーを回復させているときに知った。
そんなことを知ったとき、シハルがルリカのところにやってきて、いった。
「お疲れ様、ルリカちゃん」
「シハルさん、第二試合進出おめでとうございます」
「もしかしたら、いけなかったかもしれないけどね」とシハルは謙遜したように言った。「ところで、最初にあまいかおりを使ったときのことなんだけど、どうしてしんぴのまもりを先に使わなかったの?」
「どうしてといわれても……ただ、あまいかおりが来たからまずはそっちから払ってしまおうと思ったので」
「あまいかおりの効果は知ってる?」
「ええっと、確か、動きが鈍くなるんでしたよね。攻撃をかわしにくくなるとか」
「そうそう、ちゃんとわかってるじゃない。だったら、あそこはふきとばしを使う必要はなかったんじゃない? ねむり状態で何もできなくなるより、かわしにくくなるほうがまだましじゃない」
「確かにそうですね。じゃあ、ねむりにならないしんぴのまもりを使えばよかったんですね」
「そういうこと。来たものからじゃなくて、後になって得になるほうを選ばないと」
「アドバイスありがとうございます、シハルさん。その辺を気をつけるようにしてみます」
「そうしたほうがいいと思うわよ。あ、それと、あのときのぎんいろのかぜはよかったわね。ああいうタイミングで使っても威力があがってるんですもの、十分だよね」
“あのとき”というのがルリカはわからなかったので、いつかを聞き返した。
「はなびらのまいを最初に使ったときだったかな」とシハル。「もうアゲハントの体力がなくてとくせいのむしのしらせが発動してたから、ぎんいろのかぜの威力が強くなってたのね」
と、シハルはそういうと、シハルは呼び出されて、ルリカの返答もきかづにその場を去って行った。
この大会は結局、シハルが優勝した。そして、次の大会がフエンタウンであることを知ったルリカは、その場を後にしてポケモンセンターへと戻って行った。
ルリカは、この大会のことを考えた。いったい何がいけなかったのだろうか。見事に一次審査は突破したものの、二次審査は第一試合おち。相手が今大会の優勝者であったからかもしれないけど。
さらに、シハルがいっていたアドバイスを思いだした。ハシミのアドバイスとは大違いだとルリカは思った。“夢”ではなく、経験だ。バトルの経験が私には少ないんだ、と。
彼女はそう考えると、これからはバトルの練習もしなければならないことを知った。
「一次審査はもうこれで完璧だし、今度のフエンタウンでのコンテストまではバトルをみっちり練習しよう」そう彼女は心に決めた。
第七話終了第八話に続く……
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