ヒワマキ大会で初めてリボンを手に入れたルリカの気分は高ぶっていた。さらに、ミールの驚いた顔と大会終了後にいってきた「今度は負けへんで!」という言葉を聞いたとなればなおさらだ。あれだけ、敵意をむき出していた相手が、こんな態度を取ってきたのだから。
次のポケモンコンテストは、ラルースシティという町であることを知ったルリカはラルースへと向かっていた。ラルースシティは、ヒワマキシティ東に位置し、海に近い場所にある町だ。そこにいくには、途中モノレールに乗る必要がある。
ラルースに到着すると、突如四角いブロックを頭のようにしており、空中浮遊しているロボットが彼女のところへやってきて、パスポートと称するものを渡してきた。渡し終わると別の人たちのところへいき、それらを渡していた。
「なににつかうんだろう、これ……」
ルリカは頭をかしげつつ、歩き始めた。すると、突然足を取られあっというまに転んだと思うと、体だけは動いていた。その状況がいったい何かわけがわからなくなった彼女だったが、足元を見てみると、道が動いているのに気がついた。
「動く……歩道?」
そう思うと、乗り換え地点が来て、彼女は歩道から放り出された。
「もう、いったいどうなってるのよ!」彼女は思わず声をあげた。
乗り換え地点に別の少女がやってきた。軽やかに歩道から降りると、その少女はルリカに話しかけた。
「大丈夫? ……あれ?」
ルリカは話しかけてきた相手の顔をみた。そして、話しかけた少女もルリカの顔を見た。
それは互いに知り合いの人物だった。
「ルリカちゃんじゃない!」
「シハルさん!」
彼女に話しかけてきた相手はシハルだった。ルリカの二度目のコンテストであるハジツゲ大会で会った、ルリカの友達である。
ルリカが立ち上がると、シハルはいった。
「久しぶりね。ハジツゲ大会以来でしょ?」
「はい。シハルさんはここで何をしてるんですか?」
「何をしてるってわかってるくせに」微笑しながらシハルは言った。
「じゃあ、やっぱりシハルさんもこの町のポケモンコンテストに出るんですか?」
「もちろん! それに故郷の大会だし、でるしかないでしょ」
「故郷?」ルリカは驚いたようにいった。
「あれ、いわなかったっけ。ラルースシティは私が育った町なのよ。お父さんの故郷でもあるの」
「じゃあ、負けられないね、シハルさん」
「だからって、手加減しないでね! 私のほんとうの姿を見せたいの。もと、トップコーディネーターの私の両親にね」
「もちろん、手加減はしませんよ! それよりシハルさん。私をコンテスト会場までつれてってもらえませんか?」
「ああ、ここの移動の仕方がわからないので。いいわよ、ついでにこの町の歩き方も教えてあげるよ」
コンテスト会場でエントリーを済ませると、今度はポケモンセンターへ案内された。そのときには、ラルース特有の動く歩道にもなれ、ひとりであるくことができるように成長した。
ポケモンセンターに到着すると、シハルは言った。
「じゃあ、私はここで」
「今日は本当ありがとうございました」
「いいのよ。じゃあ、またコンテストのときに」
そういってシハルはその場を辞去した。
ポケモンコンテストラルース大会は、予定通り開催された。ハイテクシティでの開催ということもあり、会場の仕掛けに何かがあると考えていたルリカだったが、その予想ははずれ、普通のコンテストの会場であった。コンテストではハイテクにするものがないのだ。
ルリカの出番は早く、開催宣言がされてから十分で彼女の出番だった。
「ポルザー、ステージオン!」
ラルース大会では、ついにポルザーがデビューすることとなった。緊張した面持ちでポルザーは会場に召喚された。
「ポルザー、あまごいからこなゆき!」
ステージ上ニアメが振り出すと、その雨をポルザーは凍らせ始めた。氷となったその雨は次第に氷壁を作り出していた。ある程度の氷壁を作り出すと、ルリカは次の指示を出す。
「今度はにほんばれ! それからみずでっぽう!」
雨はやみ強い日差しが照らし出される。氷壁は、日差しによって美しく輝き、みずでっぽうによって破壊される氷壁の破片もそれにより美しく輝き、空中に大量の輝きが現れた。美しく輝く氷壁を取り囲むように美しく輝く破片の画である。
ポルザーの演技はこれで終了した。
ルリカは思った。――まだ、改良の余地はたくさんあるわね……。
それからしばらくすると、シハルの一次審査が行われた。シハルは前回のロゼリアではなく、エネコを使い今回のコンテストに望むらしい。彼女の演技は完璧で、故郷での大会だけにかなりの気合が入っているようだった。
シハルの演技は最後だったので、シハルが控え室に戻ってくるのをルリカは待ち構えていた。
「すごかったです、シハルさんの演技」ルリカはいった。「すごい気合が入ってましたし、演技も綺麗だったし、最高でしたよ」
「ありがとう」シハルはうれしそうにいう。「今回は前回と違って、綺麗にできたと私も思うわ。ルリカちゃんのも綺麗だったわよ。ただ、インパクトが足りなかった感じがするけど」
「やっぱりそうですよね」ルリカは落胆した。
「でも、美しさではインパクトにひけをとらなかったわよ」あわててシハルはいった。
二次審査通過への発表が行われた。順位順にそれは発表され、モニターに一番最初映ったのはシハルだった。それから、ほかのコーディネーターが一気に表示された。ルリカの姿は、最後にあった。
「やったね、ルリカちゃん!」シハルはうれしそうにいった。「ルリカちゃんも突破だよ!」
「はい!」ルリカもうれしそうにいった。「シハルさんもですね」
すぐにトーナメント表が作成された。これもルリカの運命であろうか、シハルとの対戦は決勝戦まで勝ち上らなければできなかった。ルリカは何かとこのパターンが多いのをうらんだ。
「決勝戦か」シハルはつぶやく。「お互い、大一番で戦えるようにがんばろうね!」
ルリカにはその言葉が大いに響いたのか、前大会同様に彼女は決勝戦の舞台までこまを進めることを達成した。とはいえ、バトルオフで勝利したのではないので完全に前大会と同様ではない。
ルリカが戦いを望むシハルの調子も一次審査のものを引き継いでおり、圧倒的といえるほどで決勝戦の舞台まで上りあがってきた。
決勝戦の舞台で見合うルリカとシハル。今に決勝戦のタイマーが動き出そうとしていた。ビビアンの一言が言われたと同時にスタートする。
その状況で、シハルを大きな声で応援する声が聞こえた。大勢の観客の中から、その主を探すのは大変なためルリカには誰かはわからなかったが、シハルは、困ったもんだ、とばかりに顔をゆがめていた。
「それでは」ビビアンがいった。「決勝戦、スタート!」
「ポルザー、ステージオン!」
「いくのよ、エネコ!」
ルリカはポルザー。シハルはエネコを出した。
先手をきったのは、シハルのエネコだった。
「エネコ、ねこのて!」
ねこのては、マジカルリーフになり、ポルザーにダメージを与えた。運まかせのこのわざも、決まれば結果オーライである。
「ポルザー、あまごいよ! それから、ウェザーボール!」
あまごいによって、青いみずタイプに変化したポルザーは、ウェザーボールを放った。現在の環境のウェザーボールは、普通のウェザーボールより威力が増している。
「エネコ、ふぶき!」
みずタイプとなり、水でできているウェザーボールは一瞬のうちに冷却されてしまった。氷の塊となったウェザーボールは、その重みで勢いを失い、その場に落ちてしまい、ただの氷の玉になってしまった。無力化されたルリカのポイントは減少した。
「エネコ、おうふくびんた!」
「ポルザー、こなゆき!」
範囲が広くなるこなゆきを接近しているエネコは回避することができなかった。ルリカは、畳み掛けるようにウェザーボールからみずでっぽうを指示した。丸い玉のウェザーボールにみずでっぽうの水が加わり、玉が巨大化したさらにパワーアップしたウェザーボールだ。
ふぶきを放つには時間がかかるため、エネコは先ほどの技を使うことはできなかった。パワーアップしたウェザーボールを受けたエネコは、なんとかそこでポルザーの連続攻撃をとどめることができた。
「エネコ、シャドーボール!」
「ポルザー、ウェザーボール!」
霊の玉と水の玉がぶつかり合った。明らかにウェザーボールのほうが威力は上だったにもかかわらず、シャドーボールがウェザーボールによっては解されることはなく、その場で二つのわざははじけた。
煙がステージ上を覆った。相手が見えないルリカは、この煙が晴れるのをまっていた。だが、相手はそれを待ってなどいなかった。
突如、ポルザーにシャドーボールがあたった。それにルリカが気がついたときにはすでに、エネコはポルザーにおうふくビンタをくらわせていた。
「ポルザー、みずでっぽう!」
体制が体制だけにみずでっぽうしか放てない。そのわざによって、エネコとの差をとることに成功すると、エネコは煙の中へ消えていった。やがて、煙が消えると、エネコはシハルの前で攻撃態勢で待ち構えていた。
残りは、二分をきり、共にポイントは半々であった。
「ポルザー、ウェザーボールからみずでっぽう!」
パワーアップウェザーボールを再度ポルザーは放つ。距離が開いている今、エネコはそれを軽々とかわした。
「エネコ、シャドーボール!」
エネコはシャドーボールを放った。その瞬間、エネコはそのシャドーボールの上に乗った。シャドーボールと共に迫り来るエネコは、シャドーボールこそかわしたポルザーに、再度おうふくビンタをおみまいした。
「これが、さっきのからくりね」ルリカは理解した。「ポルザー、上昇よ! そして、こなゆき!」
ポルザーは、おうふくビンタの嵐から抜け出し、上空へと移動し、こなゆきを放った。すると、降り続ける雨がひょうへと変わったではないか。まさに、即席のあられである。突然のひょうに逃げ惑うエネコ。エネコの思考は、パニック状態にあった。
「エネコ、落ち着いて!」シハルは必死にエネコをなだめようとするが、言うことをきかない。
「ポルザー!」とルリカ。「ウェザーボールからみずでっぽう!」
パワーアップウェザーボールは、逃げ惑うエネコに綺麗に命中した。残り三十秒のところで、エネコはバトルオフとなった。
ルリカは、コンテスタから紺のリボンをもらった。二つ目のリボンをルリカは手に入れたのである。
「ありがとう、ポルザー」控え室に戻るとルリカはポルザーにいった。「今日はあなたのおかげで勝てたわ」
ポルザーの表情もうれしそうである。大変な思いをしただけに、リボンをルリカが手に入れたことを心から喜んでくれているのだ。
その二人のところへ、シハルはやってきた。
「おめでとう、ルリカちゃん」
「ありがとうございます」
「私、家に帰ったらお父さんとお母さんになんていわれるだろうなあ。すごい気になるかも。でも、全力でやったわけだし、くいはないよ。ルリカちゃん、今度あったときは絶対に負けないからね」
「はい、私もまた負けないようにがんばりますよ!」
「それじゃ、私は家に帰るね。じゃあ、また今度会いましょうね!」
第二十話終了第二十一話に続く……
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